2016年産
1歳募集馬近況レポート

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タイキキララの16年産

 幼い頃はこれでもか、と放牧地を縦横無尽に駆け回るやんちゃ坊主≠セった。同場の繁殖牝馬の中でも若く、まだまだ元気な母の背中を懸命に追いかけるうちに、基礎体力は日増しにアップ。同世代の中でもひと際目立つ筋肉量豊富なトモは、そんな毎日を過ごした賜物なのかもしれない。 日高山脈にうっすらと雪化粧が施され、秋深まる10月某日。タイキキララの16(♂、父ディープブリランテ)は競走馬としてデビューするための第一歩を順調に踏み出していた。
「ここまで順調に成長してきましたので、8月にイヤリング(中期育成)から移動して、9月9日から馴致をスタートさせています。素直な馬で、余計なことは一切しませんからね。すんなりと馴致を終えて、始めて3日後には人を乗せて周回コースに出ることができました」(ビクトリーホースランチ育成主任)

 かつてスタッフの誰もがやんちゃ坊主≠ニ呼んだ当歳馬はいつの日か、何事にも動じない強い心をもつようになっていた。初めての鞍置き、ロンギ場入りを難なくクリアし、人間の意図をしっかり受け取ってくれるため操作性もすこぶる良好だ。気持ちの成熟度合に合わせるように馬体も成長して、10月中旬時点で馬体重は468キロ。もともと骨量豊富で馬格に恵まれていたが、ここにきて体高も伸びて、見栄えは一段と良くなった。 「馴致開始から1週間で1800mのキャンターをこなして、うちの1歳馬の中でも最も進んだ組にいます。走ることに対して前向きな性格は幼い頃から変わらず。それでいてスタッフの指示には素直に従ってくれます。母系の特徴から成長曲線はゆったりとしたカーブを描いていくことになるのでしょうが、現時点でもパワフルさを感じますし、スピードもありそうですよ」(育成主任)

 父ディープブリランテは2016年総合&JRAファーストシーズンサイアーランキング3位。初年度産駒からセダブリランテス(17年GVラジオNIKKEI賞)を送り、成功種牡馬への道を歩み始めている。母タイキキララとの配合を決定する際、荻野豊代表が意識したのは、ずばり「Haloの4×4」。このクロスを作るためにSS系種牡馬のトップを走るディープインパクトの血を求めるのは当然のこと。2月の種牡馬展示会で実馬の状態をしっかりと見極めたうえで、ディープインパクト産駒の中でもとくにスピード能力に秀でた本馬に白羽の矢を立てたのだ。
「初年度産駒のレースぶりを見ても父のスピードが伝わっているのがわかります。この母系はどんな馬をつけてもコロンとした体型で出てくる。本馬も現時点では姉フェリーチェ同様、母によく似ていますが、可動域の広さや豊富な筋肉量、バネを感じさせる動きは父譲りのものでしょう」(荻野代表)
 本格的にペースアップしていくために、今はじっくりと体力強化を図る日々。年内にはBTC(日高競走馬育成センター)での調教に入る予定だ。世代屈指のやんちゃ坊主≠ヘどんな競走馬へと変身を遂げるのか。春の再会を楽しみに待ちたい。

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タイキラナキラの16年産

 トップホースの幼少期を振り返った時、困ったことにスタッフの記憶に残っていないということがじつは多い。ただ、それは決して『平凡な馬だったから』ということではない。人の印象に残っていないというのはイコール、『何も問題のない馬だったから』である。
 タイキラナキラ16(♂、父ストロングリターン)には、今のところ個性的なエピソードがひとつもない。生まれてからここまでスクスクと育ち、どの時点においても手が掛からない優等生として過ごしてきたからだ。大きなケガを負ったこともなければ、環境が変わってもストレスを溜めるところがなく、カイバもよく食べた。5月生まれにも関わらず馴致スタートの時期が早かったのは、目立たず騒がず、順調に成長してこられた証だ。

「9月6日から馴致を始めて、この子も1週間ほどで周回コースで1800mを乗れるようになりました。おっとりした性格で変な癖もなく、誰が乗っても大丈夫。見慣れない人や物が目に入っても動揺することなく、スッと受け入れる寛容さがありますね」(育成主任)
 首差しが長い分、一見すると細身のラインに映るが、10月中旬時点で馬体重は486キロ。これまでバランスを崩すことなく成長できており、体全体に必要な筋肉がしっかりと付いているのがわかる。動かしても重心のブレがなく、背中の安定感は他の同世代と比べても一、二を争うレベルだ。 「ビクトリーホースランチのロンギ場はウッドチップが深く、まだ力のない1歳馬だと脚をとられて動作が鈍りがちですが、この子の場合は最初からスッスッと身軽に動くことができました。それだけ動きに無理がなく、バランスが取れているということでしょう」(育成主任)

 背腰がしっかりしていて、力が体全体に行き渡るからこそ、立ち姿もピタリと決まる。1歳馬とは思えない格好良いシルエットもカタログの立ち写真を見比べてみて納得。安田記念を日本レコードで制した父ストロングリターンのそれに良く似ているのだ。父の初年度産駒は今年デビューして中央・地方で続々と勝ち上がっており、芝ダート不問のスピードが持ち味。コストパフォーマンスの良さから産地での人気も上昇中で、供用4年目となる2017年度は前年に続いて120頭を超える種付けを行った。供用2年目に母タイキラナキラとの配合を決めた理由について荻野代表は「ミスプロの4×4が作れること。短距離一辺倒ではないレースぶりに魅力を感じた」と語る。特に、前年の種牡馬展示会で馬体の良さが目を引いたことも決断を後押しした。
「期待どおり、なかなかの出来栄えでしょう。首差しのラインは父譲り。動かしてもバランスが本当に良くて、目を引きます。今年のセリに出してもそれなりの値段がついたレベルでしょうしね、うーん、お手頃価格ですね(笑)」
 にこやかに笑いながらも目はちょっぴり本気の荻野代表。後悔先に立たず、というしかないわけだが、本当に代表が後悔するのは、本馬がデビューした後(?)かもしれない。忘れずに記憶にとどめておきたい1頭となった。

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